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マラリアとアフリカの子どもたち(Malaria Toll on Children)

マラリアについて
■病原体と感染経路

マラリアは、マラリア原虫による感染症。

マラリア原虫を持つ蚊(ハマダラカ)に吸血されることで感染します。 原虫の種類によって、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリアの4種類に分類されます。そのうち少なくとも卵型は、南極大陸をのぞくすべての大陸で、今もマラリアを引き起こしています。もっとも致死性の高い熱帯熱マラリアを引き起こす熱帯熱マラリア原虫は、サハラ以南アフリカを中心に生息していて、マラリアを媒介するガンビエハマダラ蚊の本拠地も、サハラ以南アフリカになります。

マラリアを媒介する蚊(ハマダラカ属)の見分け方

マラリアを媒介する蚊(ハマダラカ属)の見分け方

参考:厚生労働省検疫所

マラリア原虫は、人と蚊の両方の体内を借りて増殖します。マラリア原虫に感染したメスのハマダラカがヒトを刺すと、マラリア原虫が、唾液と共に血液中に注入されます。マラリア原虫は幹細胞の中に入りこみ、メロゾイトという物質を生成します。このメロゾイトは、赤血球に侵入して増殖。感染した赤血球が破裂すると、マラリアの症状である悪寒や発熱、進行性貧血が生じます。この間約1週間から10日間ほどです。

そしてこのメロゾイトが含まれた人間の血をハマダラ蚊が吸うことで、マラリア原虫は蚊の体内に入り、胃壁の中でオーシストを、次に多数の糸状のスポロゾイトを形成します。これらが蚊の唾液腺に移動して、次に蚊が吸血する際に唾液を介して血液中に注入され、新たな感染者を生み出します。

参考:厚生労働省検疫所
橋本雅一『世界史の中のマラリア:一生物学者の視点から』(藤原書店、1991年)

■症状

マラリアの症状の特徴は、悪寒、震え、発熱や進行性貧血です。

初期の段階では、高い熱を出したのちに、悪寒は消えますが、体温は更に上昇し、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛などが起こり、これが4~5時間続くと発汗と共に解熱します。 これを熱発作と呼びます。

いずれも一度熱がさがるので油断しやすいが、すぐに治療をしないと危険な状態になります。一般的に、3度目の高熱が発症した時は危険といわれています。放置すると、熱帯熱マラリア以外は慢性化します。慢性化すると発熱の間隔が伸び、血中の原虫は減少します。

三日熱マラリアと卵形マラリアは一部の原虫が肝細胞内で休眠型となり、長期間潜伏する事があります。この原虫は何らかの原因で分裂を再開し、再発の原因となります。四日熱マラリア原虫の成熟体は、血液中に数カ月~数年間潜伏し発症させることがあります。

合併症
一般的に熱帯熱マラリアで起こります。

  • 脳マラリア:原虫が寄生した赤血球が脳内の血管などの微細な血管に詰まり血流を阻害することにより発生。意識低下、言語のもつれなどの神経症状が起こり、進行すると昏睡状態に陥り、死亡してしまう。
  • 黒水熱:急速な溶血によって、ヘモグロビン尿、黄疸など発症。
  • その他の合併症:脾臓の肥大と低血糖、肺水腫など発症する可能性がある。また、妊婦が感染すると妊娠に影響を与え、また原虫が胎児に移行する可能性もある。

参考:メルクマニュアル医学百科

■治療方法

マラリア原虫へのワクチンはありません。

ワクチンがない以上、マラリアの流行地に行く場合は蚊に刺されないようにすることが最重要事項です。殺虫剤や虫除けスプレーなどを使うほか、室内は蚊取り線香の使用や夜間は蚊帳を用いることも必要です。抗マラリア薬の予防投与も行われます(ただし副作用が強く出るケースがあるので注意が必要)

ちなみに、日本の蚊取り線香がよく効くと、旅行や仕事でアフリカを訪れた方から聞くことも多くあります。

それでもマラリアにかかった場合、抗マラリア薬の投与が治療法で挙げられます。

マラリアの治療薬として、南米が原産のキナの樹皮からとれる、キニーネが有名です。他にはクロロキン、メフロキン、ファンシダール、プリマキン等。いずれも強い副作用が現れることがあり注意が必要。クロロキンは他の薬剤よりは副作用が少ないため、予防薬や治療の際最初に試す薬として使われることが多いですが、クロロキンに耐性を示す原虫も存在します。

感染した地域によって、マラリア原虫の薬剤耐性が異なるので、その地域性を考慮した薬剤が選択されます。とはいえ、近年は殺虫剤に耐性を持つハマダラカや、薬剤に耐性のあるマラリア原虫が現れていることが問題になっています。

また、地球温暖化による亜熱帯域の拡大とともにマラリアの分布域が広がることも指摘されています。流行地で生まれ育ち、度々マラリアに罹患し免疫を獲得したヒトでは、発熱などの症状がほとんど診られないこともあるが、免疫が無ければ発症します。

マラリアに関しては、予防よりも治療に進展の遅れが見られるのも特徴です。

サハラ以南アフリカでは、子どもの熱病患者の治療がある程度進んでいますが、治療の進んだ国はほとんどない上に、ほとんどの患者が有効性の比較的低い薬を投与されているのが現状です。

サハラ以南アフリカの22 カ国を見ると、熱病にかかった子どものうち、抗マラリア薬の投与を受けた者の割合は、2000 年の41%から2005 年には34%へと低下しています。しかも、そのうちの14 カ国で、高価で有効性の高いアルテミシニン併用療法(ACT)による治療を受けている 人の割合は、まだまだ少ない状況です。

参考:厚生労働省検疫所
国連「国連ミレニアム開発目標2008」(2008年)

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